「リストラ」という言葉、それは失われた10年と呼ばれる時代における、最大の流行語でしょう。バブル崩壊後の先の見えない中、多くの企業が会社の存亡をかけて社員の一斉削減を図りました。「リストラ」=「解雇」といった誤解も大いにされました。ですが、気が付けばそのような時代は過ぎ去った過去となり、今では「リストラ」の正しい意味をほとんどの方が理解されていることでしょう。
今回は、バブル崩壊期の「リストラ」を再検証し、それと比較する形で現代にふさわしい新しい「リストラ」のアイデアをご提案したいと思います。
企業は生き物であり、その時々の環境に応じて成長していかねばなりません。バブル期の沸騰した日本経済においては、資金、資材、人材の全てを潤沢に抱えて爆発的に動くことなく、企業が成長して生き残ることは難しかったでしょう。もし、一企業が先見の明を持って活動の緊縮を図っていたとしても、余程の体力が無い限り、圧倒的な時代のパワーに押し潰されてしまった可能性が高いです。今となっては元から間違いだらけだったのだと皆さん気付いているわけですが、あの当時は止むを得ない面があったと思います。
ですから、生き残ってバブル崩壊を迎えた多くの企業にとって、あの「リストラ」は文字通りの「リストラ」であって、必要でした。もちろん、反省すべき点、繰り返してはならない点は大いにありますし、献身的に勤められてきた方が大変に不遇な思いをされたことも忘れてはなりません。混迷の中で必要以上の削減、無策な削減が行われ、結局、ますます経営が傾いたケースも少なくないでしょう。ですが、一企業は常に時代の流れの中で変化して生き延びていかねばならないということは、間違いないわけです。
21世紀の今をたくましく生きる企業は、かつてのように肥大した組織を持っていません。そのような無駄を切り捨て、あるいは初めから持たず、精一杯の活動をして利益を積み上げています。ですがそのような企業でも、昨今のような巨大な時代のうねりには逆らえず、「リストラ」の必要性に直面します。
そもそも、社会全体においても、一企業においても、一事業においても、景気のアップダウンはあります。ですから、厳しい時期に突入しても経営を守り、事業を存続してしっかりと再起を図れる組織作りをしていかねばなりません。理想を追求するならば、苦しくなってからリストラをするのではなく、好況時においても無闇に資金を吐き出さずに、その次の厳しい段階を見越してリスクを回避していくべきなのでしょう。余裕のある時の方が準備もし易いわけですから。2007年からの一連の騒動の中で、このことを再認識された経営者の方は多いのではないでしょうか。
ですが、前もって分かることばかりではありません。反省から得るものを活かし、今からでも、一日でも早く、可能なことに手をかけていくべきです。
それでは、現代の多くの企業において、改善できる可能性の高い点を探してみましょう。かつてのような解雇による人件費の削減は、むしろ自殺行為となる企業が多いと思われます。むしろ現有の組織を強化できる優秀な人材を求めこそすれ、今のメンバーが一人欠けてもより厳しい状況となると予想されるのではないでしょうか。リストラをするならば、そういった企業の力そのものである人材を維持し、増強するためのものでなくてはなりません。
そのための一つの手法としてよく挙げられますのが、「福利厚生」の強化でしょう。社員が心身ともに健康に働き続けられる環境を作り、モチベーションと愛社精神を高める。そのための施策であるわけですが、現代において、その手法に大きな転換が求められています。
あるデータによると、「社員旅行に行って楽しかった」と感じた会社員は30%程度。「社員旅行は必要だ」と考える会社員は15%程度という数字が出ています。忘年会などの親睦会についても、特に20代~30代の若い世代の会社員は、あまり前向きに感じていないようです。福利厚生の代表格ともいえる社員向け優遇の有る保養施設等についても、多くの企業において利用率の大幅な減少が見られています。こういったことに関する費用を、正しく転用できないでしょうか。
一方で、「将来に対する経済的不安」「年金に対する不安」といった経済的不安や、「ガンの不安」「介護の不安」といった身体に関する不安は、共に若い世代においても強く感じられる時代になっています。それらに適切に対応することで、企業イメージを高めながら優秀な社員を維持、増強していくことが可能になると考えられます。
従来型の、言うなれば「宴会形式」の福利厚生の意味が失われたわけではありません。不安を解消し、自社に勤務することに対する満足感を高めた上で、社員全体が団結する取り組みをピンポイントで行っていくことで、より大きな効果が期待できるはずです。
とはいえ、福利厚生はあくまで出費ですから、充実を図れば財源が必要になります。それをどこから捻出していくことが出来るかについては、可能性の高い切り口がいくつかあります。そのうちの一つである「企業保障」のあり方について、次回は踏み込みます。経営にかかる負担を一気に解消し、正しくリスクから会社と社員を守る、真の「リストラ」をご紹介したいです。
- 2009年4月20日 23:21
- 経営全般
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